今年もトップカテゴリーのレースが始まったので、バタバタしながら片手間で見ているのではあるがぼちぼちと見ている。車の趣味になる前に長野五輪でスキーの回転や滑降の中継に見入っていた覚えはある。競争を見るのは好きなんだろうな。
でも実のところ、私自身は「速さ」にあまり執着がない。というか競争、というもので勝って良い思いをした覚えもあまりないので、勝てたとしてもその後が大変になる様な恐怖感を子供時代に持ってしまった。
あまり考えても仕方ないので、そういう感情は、大人になってからは理詰めで処理して、出来るだけフラットにする様に努めている。
速さの話。なぜ速く走れないのか。
運転が間違っているか、理解が足りない。必要なことができてない。
速く走ろうとしていない。
大雑把な言い方をすると、こんな感じ?自分の場合は両方だと思う。
我流の時は「速く走ろうとすれば何かが見えるかも知れない」と考えるしか無かったが、そこに疑いはあったので習う場所を求めていた。実際そう考えていた時はあまり良い事が無かった。運転の上手な人は身の回りにもいたけれど、言葉で教わるにはあまりにも自分が基本がなかったし、主婦は働いている人が休みの日の方が忙しい事が多いから周囲の人と同じ場所に行けなかった。諸々無理がある。
私自身は速く走りたいというよりも上手く運転したい、楽しく運転したいと思って車の運転を習ってみようとしたのだけれど、どうしても「速さを求めるかどうか」というものが付きまとう様になった。速さが嫌だとか、不必要だとは全く思わない。数字での速さが全てだとは思わないが、運転の進歩の最大の結果が速さでそれは多くは数字にも現れると思う。そして速く走りたい人の方が習う確率は高いというか、習えば速く走りたいと思うのが人情であり、自身も例外とも言えない。
自分が行っているユイレーシングスクールでは速さを至上命題としては求められているとは私は思っていない。スクール中もことさらに速さを要求はされない。速さを求める人には惜しげなく速さを追い求める指導もあるが、一緒に走る集団の中で問題を起こさず、理にかなった運転を理解し体得する手助けをしてくれる。速さにもいろんな種類があると思うし、何と比べるのかどういう速さを求めるのか。そこに明確な方針がスクール側にあると思う。
ただ、ゆっくり走っている自分を許していると成し得ない進歩もあるわけで、それを求めるなら速さも必要になると思って、遅遅たるものではあるが進歩を求めて続けている。
ともかく、私の走りは速くない。ルーテシア3RSに乗る前は車が重め非力だったので比較対象がハッキリなかったけれど、今はそうはいかない。速いと思ったことはないけれど行くたびに思う。遅い、なのか速くない、なのか。
それが悔しいとはあんまり思わない。例えばこの間参加した時に毎回ぶち抜かれていた同車種はハイグリップタイヤとの事だったし、こちらはただのラジアルで、それまでの1年で1500キロしか乗れなかったカチカチタイヤだ。足回りが全く一緒かどうかもわからないし、タイヤや足回りの違いを知った所で、今の私に装備による速さの比較を自分が走りながらできるはずがない。
まずは自分がちゃんと走って後ろもしっかり確認するしかない。
追い越されて悔しいとかもあまり無い。ただただ現状を自分で解釈して納得できれば良いなと思うばかりだ。
そんな感じで走っていて、やっとこさトラクションかかる状況に持ち込めて車を傾けてもアンダー出ないことに安心できた時に分かった事。
なぜ速く走れないのかのひとつの答え。
トラクションを得るためにはタイヤを路面に押し付ける速度落差が必要でもあると分かった。でもただぎゅうぎゅうブレーキ踏んで前後バランスを無視してもアンダーオーバーに繋がる。ストレートでしっかり踏んで、前後バランスを考えて減速をする。ストレートでしっかり踏むためのコーナリング。
我流で散々アンダーステアを経験してきたので、トラクションを得る様な速度落差にセットでアンダーステアの恐怖感が染みついていたり、そもそも車を傾ける経験をして来ていない(我流の時はその手前でアンダーでて失速)ので、トラクションであそこまでタイヤが粘るという概念が無かった。
もっと速く走りたい、と周囲に言った事は殆ど無かったし、速さを求めていない感がおそらく私からは出てしまっているだろうから、無理に求められもして来なかったし、トラクションに関しては知らないことはやろうともしなくても仕方がない。思い返せば教えてもらって無いわけでも無かったと思うのだけれど、筋道立ててハッキリと理解するには至っていなかったのだと思う。
ともかく昨年末スクールで、トラクションの萌芽を自分で感じ取れて、そのタイミングで同乗走行2本でそこがハッキリして、遅さのひとつの原因が理解できた。
なんかこう、ある意味シンプルな事が分かってなかった自分にがっかりする様な、分かって良かった様な、そんな気持ちでいるが、それでもコース上にいないときは、コーナリングでロールするあの傾きは大丈夫だと思ってもちょっと怖い。
ただ、オーバルでコーナリングしながら、大丈夫だ!あれ、ここで踏めるのに(アンダーが怖くて)踏んで無い自分がいる!って走りながら思っている自分がいるのに気がついた瞬間が一番面白かった。あたしバカだなー!って笑えて来た。
追いつかれたらすぐぶち抜かれていたのが、コーナー2つ分粘れる様になった。
なのでまた行って、本格的に我流のトラウマに別れを告げて、もうちょっとだけでも速く走れたら面白いなと思うわけで。